JRツアーズ485系8000番代「とりのうた」

■序
 1987年に国鉄が分割・民営化された際、6つの旅客鉄道会社に分割され、地域輸送の強化が行われましたが、在来線による広域輸送の需要もないわけではないということで、JR貨物と団体・臨時列車運行会社のJR団臨(JRツアーズ)が生まれました。
 JRツアーズは団体輸送に特化した事業者ということで、汎用性の極めて高い111系、457系、485系、キハ58形式などを国鉄から承継しましたが、定期運行を行わない事業者の宿命か、よく言えば「使い込まれた」車両ばかりを押し付けられた感があります。もちろんそれでもきちんと整備をすれば使えないこともないのですが、111系だけはさすがにこれ以上手を入れてもコストに見合わないこと、好景気による旅客の高級化志向にも合わないことから早々に置き換えの検討となりました。しかし、ボディの設計から検討する時間はないため、汎用性に優れた485系のボディ構造はそのまま、足回りのみ現在のレベルにふさわしい車両を作ることとなりました。これが485系8000番代です。
 

■基本構造
 485系は国鉄時代には日本全国で活躍した車両で、架線さえあればJR線のどこへでも走っていける点が魅力です。団体輸送は定期旅客輸送と違い、正規運賃というものが存在しません。そのため、旅行コストの柔軟性を確保するためには、故障に強くかつ価格がこなれた車両が必要でした。そのため走行機器はJRで実績のあるものを採用し、かつ部品確保が容易な車両が求められ、485系はその目的にかなったものでした。
 
485系が装備していたMT54は優秀なモータではありますが、高速域でのパンチが今一つです。とくに連続勾配となると3.5のローギアードと相まって、思うように速度が出ません。また、70キロまでの加速力が1.2キロ/秒というのも団体列車の使用としては厳しいものがありました。そこでモータはにパワーバンドの広いMT61に載せ換え、ギア比を急行型電車同じ4.21としています。
 基本性能はα=2.3、β=3.5、最高速度は4M1Tの場合130キロ、速度種別はA68となっています。MT61は本来低速に強いモータですが、高速域では弱め界磁率を35%まで下げることで高速性能を確保しています。なお、最高認可速度は130キロですが、現在は特にタイトな運転曲線となっている大阪〜岡山間以外では130キロ運転は実施していません。
 また、485系はJR線だけではなく、電力設備が脆弱な地方民鉄への直通も行われるため、運転台からの操作で限流値減(230アンペア固定)および直列弱界磁制御を選択できます。
 ブレーキ方式はSED、抑速ブレーキつき発電ブレーキで回生ブレーキは使用しません。座席定員での輸送が原則となる団体輸送に応荷重装置は不要、また、改正ブレーキに対応していない変電所を運用する民鉄への直通も鑑みて発電ブレーキの装備となりました。もっとも、総武地下線など発電ブレーキの熱がこもる懸念がある区間では、発電ブレーキをカットして走れるよう電制カットスイッチを装備しています

▲台車はDT32。幹線の直線区間に限れば極めて優秀な台車ですが、JRツアーズの電車はローカル線や民鉄線にも入線するため、しょうじきなところ仕様にマッチしたとは言いがたいところもあります。

 とはいえ、国鉄使用の485系とは若干の相違点があります。もともと485系が装
 編成はクモハ485+モハ484+クハ481の3連とクモハ485+モハ484+モハ485+モハ484+クハ481の5連の2通りを用意。需要に合わせて3〜10連を組みます。なお、団体列車という特殊事情から、3両編成車はMGを2台装備し冗長性を確保。5両辺性はユニットカットを運転台から容易にできるよう専用スイッチを設置しています。また、保安装置はATS-SおよびATS-Pを全車両に装備、一部車両はATC6を装備し、横浜線等への入線を可能としています。
 485系8000番代はモータや速度特性こそ異なりますが、制御器は同じCS15、ブレーキもSEDと共通ですので、MT54装備の従来型との混結も可能です(前後衝動が大きくなるのでお勧めはしませんが)。
 車内はモノクラス構成で、シートピッチ910ミリのリクライニングシートが並びます。車内の構成にはお座敷/リクライニングシートを車庫などで切り替えるC(コンビタイプ)と、お座敷/ボックスシートを自動で短時間に切替ができるQC(クイックチェンジ)タイプがあります。
 車内設備としてはクハ481とクモハ485に自動販売機、モハ484・モハ485にトイレが設置してあります。また、クハ481にはリネン室とコンダクターが使用する業務用室を設置してあります。

 485系8000番代は、111系置き換え用として増結用3両編成20本、5両基本編成45本が製造され、全国の電化区間で活躍しました。しかし国鉄時代から通算すると車齢40年に達する車両も多く、順次後継車両に置き換えていった結果、最後に吹田に残った3連3本が2014年に全車両が引退しました。
 

上の写真、国鉄色の車両がつながってますね
JR発足直後は国鉄引継ぎ車両の塗り替えが終わってなかったんで、こういった編成がよく見られました
この列車は7両編成で〜す! 旅客がメニー乗ってま〜す!
3両が標準の今では考えられないわね
シュプール号なんかは10両編成で走っても追いつきませんでした。いい時代でしたね
今じゃあ500人集めたツアーなんてまず催行できないもんね…
団体旅行の時代は、ザ・エーンドで〜す!
いや、社長がそれ言っちゃあおしまいでしょ…
事実リーゾン! 現代では個人ツアーによる短編成の運転が主役デース! 485系は大口団体には適したフリートでしたが、ナウの現代は快適なカーでプレミアムチャージデース!
まあそれでもJRツアーズは、列車が走る以上は利益が出る人数の旅客が乗っているわけですから、乗客ゼロでも運転しなくてはいけない他社よりは恵まれていると言えなくもありません
まあ乗りやすいクルマだったけど、末期はあちこち壊れたものね。おつかれさまでした
そういえばJRツアーズの礎となった車両なのに、1両も保存されませんでしたね
保存活動はマニーのあるJRイーストに任せておけばよいのデース! JRツアーズは過去を忘れて未来へレッツラゴンデース!
じゃあ未来に向かってもっと新車作ってよ
オーマイガッツ! 藪からスネークね!

▲1994〜2004年の間運転された「WILL」仕様。近畿日本ツーリストとの提携で運転されました。

補足

国鉄時代から通算すると車齢40年に達する車両も少なくないため、2001年登場の551系、2005年に登場した585系による置き換えを強力に進めてきました。2011年の東日本大震災でいったん置き換え計画がペンディングしたものの、131系の投入、557系の開発など後継車両を企画・投入した結果、2015年を持って全車両が引退となりました。

▲JRツアーズ発足から現在まで、電化区間の輸送を支えてきた485系ですが、585系や551系などでの置き換えを進めた結果、2015年までに全車両が引退しました。
 
 

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