JRツアーズ487系〈エルドラド〉


■序
 JRツアーズが国鉄から承継した車両のうち、111系や475系のように団体用に適していない車両の処置が問題となりました。そこでこれら車両の機器を流用し、団体用としてふさわしい車両を製造することになりました。さすがに111系の機器流用は断念しましたが、475系の機器は交直流機器、MT54モータなどを有効活用することで比較的低価格で新車が造れるということで企画されたのが487系です。

■外観・主要機器
 487系は車体を新造し、台車を除く各種機器を流用することで製造コストを下げています。ボディはt1.5のステンレス板を使用していますが、先頭のみはt2.4の鋼鉄製となっています。
 冷房装置は111系のAU75を流用。交直流機器は475系のものを流用しています。
 制御装置は抵抗制御で、モハ486に搭載しているMTrから直流1500Vを取り出し、MT54モータを1C8M制御しています。ギアリングは4.21.最高速度は軽量化が功を奏して120km/hとなっています。MT54はMT46の低速側を改善したモータなので、ギアリングを3.5から 4.21へと低速側に振っても、定格電流を390Aに設定し、ステンレスボディによる軽量化をはかる事で1.6km/h/sの加速力と120km/hの高速性能を獲得できました。


475系の機器を流用して車体を新造した487系。台車も種車のDT32を流用しています。

 なお、485系ではMT61モータを新造し走行特性の改善を図りましたが、487系では車両の軽量化で従来のモータのパフォーマンスを活かす方向にデザインされています。これは国鉄から承継した車両の『使える部分』を活用して、少しでもマトモなフリート体制に一日でも早くもって行くためになされた施策です。そのくらい、JRツアーズは国からも軽く見られていたわけです。何で団体輸送の会社に111系やキハ35を押し付けるんだ! って話ですよね。
 閑話休題。487系はそんなわけで機器を活かして車体を新造することになったわけですが、電流が1モータあたり30A上昇することでき電設備への負荷が懸念されますが、487系は最大6両つなぎまでの運用であり、6両つなぎでの編成出力は1,920kwにすぎず、30Aアップので130kw相当の負荷をかけても2,100kw程度で収まるので運行上の問題はありません。
 ブレーキはSED。応過重装置は定員乗車が原則なのでついていません。また、勾配区間での運行を考慮してノッチ戻し機能と抑速ブレーキを装備していますが、これは475系のものをそのまま利用しています。よって551系などのようなきめ細かな速度制御はできず、ノッチごとの速度制御となっています。
 そのため現状ではブレーキの問題から他形式との併結はできませんが、ほとんどの団体列車が九州内で完結する運行であり、増結するにしても487系(奇数)+487系(偶数)の6両つなぎで十分まかなえるのでその点はハンデになっていません。

■内装
 車内はオーソドックスなリクライニングシートをピッチ970mmで並べた構成ですが、展望性を重視して座席を250mmかさ上げしています。そのため窓の高さも585系などと比べると100mm上にあがっているのが特徴です。
 しかし床に段差ができているのはバリアフリーの思想にはそぐわないため、後継の551系では床は通常の高さとなり、487系のみの装備となりました。
 展望室はソファタイプの椅子を窓まわりに配置したもので、フリースペースとしての活用を想定しています。福岡支店ではこの展望席を旅行商品の目玉にしているフシがあり、487系の置き換えに557系を提案したところ、展望車両を用意しろとの要求があったほどです。これまで福岡支店のみ487系が使われ続けているのも、展望車両を持った新型車両が(555系〈シャングリ・ラ〉を別にして)存在しなかったためです。

床を250mmかさ上げしたところにシートを配置した487系。展望性は良好ですが、バリアフリーの時代にはそぐわない装備でもあります。

■運用
 かつては6両つなぎ17本を数えた487系ですが、輸送事情の変化により6両1本を3両2本に分割。モハ486に運転台を取り付けた3両つなぎ34本となって全国で活躍しました。
 しかし足回りは457系なので老朽化はいかんともしがたく、徐々に数を減らした結果2017年現在は福岡支社に3両8本(偶数・奇数4本ずつ)が残るのみとなりました。
 福岡支社のフリートは気動車のキハ78・79系・電車の487系で統一されていますが、これも『展望車の置き換えは展望車で』と福岡支社が頑なに置き換えを拒んできたからにほかなりません。
 結局本社が557系で展望車のユニットを起こすことを承認し、やっと福岡支社の置き換えが進むこととなります。

偶数編成と奇数編成を背中合わせにつないだ6両つなぎでの運行も行なわれます。この際ドアの位置が偶数編成と奇数編成で異なるのが悩みです。

福岡支社はなんであそこまで展望車にこだわるんですかね
福岡支社のエリアではJR九州が路線ごとに独特な車両を走らせているので、インパクトで負けている危機感があるんだそうです
オー! インパクトよりも中身で勝負シナサーイ! 

中身がないから外見で勝負するってことでしょうが

実際487系はバブル期に造ってますからね。座席も悪くありませんし展望ラウンジはやはり人気があります
そうは言ってもJRツアーズにも直流系のASSYがもうないもんね。福岡支社もやっと折れたわけだ

まったくあの連中エブリワンのおかげで、無駄なアッシーをずいぶんキープされ続けたのね! 経営クライシスよ!

いやまあ、それでも487系を557系2000番台で置き換えることは決まったわけじゃないですか。だから487系のASSYはもう必要ないわけですよね
まあそうだけど、まだ邪魔なASSYが残ってるのよね……
え? 何かありましたっけ
社長

オーマイガッ!
6両固定編成を3両固定×2にする際、モハ486に551系と同様の運転台を取り付けました。

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