|
川越電鉄のことをカワチンとか略したり、電車の中で通話する女子高生崩れのクレームなぞゴミ箱にポイとしたいところですが、川越電鉄の電車はうるさい。もっと静かにならないかというご要望はほかにもたくさん受けています。でも、こればっかりはどうにもならないのが正直なところです。 |
|
なんで? たとえば東武や西武の新型電車はとても静かよ。 |
|
東武や西武と川越電鉄を一緒にしてはいけません。あちらさんはすらりと足が長い。対する川越電鉄は足が短い。それなのに最高速度は同じ100キロなんですから。 |
|
足が短い? |
|
はい。足というか車輪の大きさなんですが、東武や西武は直径84〜86センチです。対する川越電鉄は路面電車ですので66センチです。20センチから違うのに、速度が一緒ってことは、車輪をより速くまわさなくてはいけません。短足の人が早く走るには歩幅を稼がなくてはなりませんよね。それと同じです。
では、早く車輪を回すっていうのはどういうことかと申しますと、つまりモータを速く回すってことです。川越電鉄の200形はピーク時に5300〜5600rpmという高回転で回ります。回転数が高くなれば音が大きくなるのは掃除機や扇風機で体験していただけるかと思います。 |
|
でも、同じ100キロでもそんなに違うものなの? |
|
違います。川越電鉄の場合、車輪が1周すると2072.4ミリ進みます。対する西武の20000系電車は2700.4ミリ進みます。1周で60センチから差がつくんですよ。 |
|
60センチか……車輪1個分ですね。 |
|
まさにそうです。同じ回転数でモータを回していると、1周ごとに車輪1個分置いていかれます。さらに歯数比という厄介な問題が絡んできます。 |
|
歯数比? |
|
はい。細かい話は抜きにして、たとえば200形は7.07という歯数比になっています。対する西武20000系は6.31です。ぶっちゃけますと、モータが7.07回転すると川越電鉄の場合は車輪が1周(=2072.4ミリ走る)し、6.31回転すると西武20000系は車輪が1周(=2700.4ミリ)すると考えてください。この部分でも川越電鉄は1割がた余計にモータを回さなくてはなりません。数字だけ見てもどんどん差がつくのがわかるかと思います。 |
|
なんで川越電鉄は歯数比を大きくしているの? |
|
ダッシュ力を稼ぐためです。歯数比が大きいと、それだけ軽い力で車両を動かせます。ギアつきの自転車に乗ればそれが実感できるかと思うのですが、ギアの比率が小さくなるほど、ペダルが重くなるでしょう。ああいうことが起こるのです。ですから、同じ力で加速力を取るには、ギア比を大きく取る必要があります。
川越電鉄の200形は毎秒5キロという加速力を持っていますが、対する西武20000形は、毎秒3キロです。 |
|
駅間距離が短いからダッシュ力が必要なんですね。 |
|
はい。で、話は戻りますが、時速100キロというのは1時間に100キロメートル進むということです。そのスピードを出すには1時間の間に川越電鉄200形なら1時間で10000000000(ミリ)÷2072.4=48253.2周させなくてはなりません。西武20000系なら37031.5周です。えらい差がついています。
さらに歯数比の差があります。川越電鉄は7.07ですからモータは1時間で341150回転します。1分あたり5685回転(5685rpm)です。西武2000系は6.31ですから1分あたり3894回転(3894rpm)です。 |
|
2000回転近い差がついているのね……。 |
|
はい。扇風機の弱と強とは比べ物にならないくらいの差です。ですからそれだけモータの音がうるさくなるのは仕方のないことなのです。 |
|
吸音材を充填するとかで何とかならないの? |
|
なるかもしれませんが、川越電鉄では大して吸音材を入れていません。吸音材だって質量を持っていますから、充填した分重量がかさみます。その分当然、起動時にはモータに余計な力が必要になります。モータのパワーを上げると熱が出ます。熱対策をするとその分重くなります……。 |
|
どんどん重くなるのね。 |
|
はい。しかしお客様が両手で耳をふさげば重量増なしである程度の遮音ができます。ですので、お客様のご理解とご協力をお願いいたします。また、イアーウイスパーは川後電鉄の駅売店で取り扱っておりますのでぜひご利用ください。1組420円です。 |
|
それでいいのか! |