お客様第一主義?
雀々しましょ(ビスコ/1997年)

ユーザーにやさしい、ビスコのゲーム
 ビスコという会社はゲーム作りのセンスがいい。レースゲームの「ドリフトアウト」や、シューティングゲーム「ストームブレード」などの出来は素晴らしいモノがある。しかも脱衣麻雀の作りもなかなかうまい。名作「恋こいしましょ」をはじめとして、ビスコの脱衣麻雀にはハズレがない。
 今回紹介する「雀々しましょ」も、そんなビスコの優れた脱衣麻雀だ。

ほどよいバランスの脱衣麻雀
 前作「恋こいしましょ」は、プレイヤーに配慮が行き届いた素晴らしい脱衣花札であった。続いて作られた「雀々しましょ」は、恋こいしましょの良さを引き継ぎながらグレードアップを果たした逸品と言える。
 雀々しましょは、SSVという高性能システムボードを採用している。そのためグラフィックも前作のような「止め絵」ではなくアニメーションとなり、音声も声優があてるなど、全体的に豪華になった印象がある。しかしここで、「仏作って魂入れず」のようにならなかった点が、ビスコの偉いところ(たとえばスーチーパイは「2」になってひどい出来になった)。とにかく1回は脱衣を見てもらおうというプレイヤー思いの配慮は、雀々しましょにも健在だ。
 まず、最初の1プレイに限り牌の交換が可能だ。もっとも、配牌が2シャンテンくらいの場合が多く、意味はあまりない。そして闘牌が始まると、だいたい6巡くらいでテンパイし、多くの場合12巡くらいで上がれる。雀々しましょのルールでは、点数にかかわらず1回勝つごとに1回の脱衣があるので、高い確率で1回は脱衣を拝むことができる。このよい伝統は、恋こい〜を引き継いでおり好感が持てる。
 ツモやゲームの流れは、2人麻雀ではごく普通の「対子で固まりがちなパターン」のツモ。しかしそういう流れになるのはイーシャンテンまでで、ここからテンパイにもっていくのはけっこう苦労する。特に七対子や三暗刻などを狙っているとき、このイーシャンテンからの連続ツモ切りはストレスがけっこうたまる。しかし、何回かに1回はちゃんと上がれるし、テンパイまでなら根性さえあればたどり着ける。そういった意味ではプレイヤーがしらけることも少なく、良いバランスといえる。
 雀々しましょのゲームランクは時間で上昇するようで、ある程度進行すると、突然4巡くらいでリーチがかかる。しかしこの場合、CPUに仕込まれる手牌はせいぜいハネ満止まりで、通常は7700点とか満貫くらいのことが多い。しかも、連続でCPUが上がる率が他の脱衣麻雀に比べ異様に低く、おまけにCPUが上がると、ランクが下がったかと思わせるくらいに優しくなる。そのため、うまく立ち回ることでけっこう長時間のプレイが可能となる。時間つぶしには打ってつけと言えよう。

バリエーションが増えたおっぱい
 女の子は恋こい〜同様4人。つまり全4ステージ構成(+隠し)で、各人3回の脱衣シーンがある。パターンは服→パンツ→おっぱいと各キャラクタ共通だが、見せ方に工夫があり単調さを感じさせない。
 おっぱいは伝統の手のひらサイズだが、多少キャラクタごとに大きさのバリエーションをつけており、こちらも特にケチをつけるところはない。ストーリーの展開も(脱衣麻雀にしては)無理がなく、軽快なテンポでゲームが進行し、たいへん快適な脱衣麻雀だ。

プレイヤーとしては嬉しいが……
 雀々しましょは、総じて出来のよい脱衣麻雀だ。しかしヒットするにはもうひとつ要素が足りなかった。
 それは「回転の悪さ」だ。雀々しましょは、その難易度の低さゆえに長時間プレイが可能だ。しかしそれは、プレイヤーには歓迎されてもゲームセンターには歓迎されない。長時間遊ばせてプレイヤーを満足させるのは家庭用ゲームの思想であり、業務用ゲームでは「短時間でプレイヤーを満足させる」ことができなくてはならない。
 そのために提案されたのが対戦麻雀だったりするのだが、雀々しましょは対戦をサポートしているものの、SSVの仕様上、同じ基板を2枚用意しなくてはならない。これではコストがかかりすぎ、ゲームセンターは二の足を踏んでしまう。
 雀々しましょは出来のよい脱衣麻雀であることは疑う余地がない。しかし業務用ゲームである以上、ある程度の「がめつさ」がなくてはメジャーになれないことも、悲しいかな事実なのである。

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