メグ。こいつのおかげでセカンドラブは歴史に残ったのであるキャラ萌えの隠れた元祖
セカンドラブ(日本物産/1986年)

デジタイズされた女の子。当時パソコンでもデジタイズがはやったが、この程度ではちんちんは反応しないのでぃすP2の陰に隠れた名作
 セカンドラブは、日本物産が1986年に発売した脱衣麻雀だ。翌年に脱衣麻雀の革命児「スーパーリアル麻雀P2」がセタから発売されたために、忘れられた存在の脱衣麻雀になっている。しかし、セカンドラブはその後のニチブツ脱衣麻雀の礎となり、方向性を決定づけた作品として忘れてはならない存在である。
 1985年から1986年にかけて、脱衣麻雀および麻雀ゲームの世界にはある変化が訪れていた。それは「アナログRGBとビットマップ画面をもった基板」の登場だ。細かい話は省くが、要は従来の基板では出せなかった「肌色*1」が、アナログRGBの基板ではきれいに出せるようになり、このころを境にグラフィックの質が飛躍的に向上したのだ。
 セカンドラブもアナログRGBとビットマップ画面をもった基板を採用し、何と実写画像を取り込んだのだ。これは当時の脱衣麻雀では画期的な出来事だった。もっとも、アナログRGBとはいえ、解像度は256×192ドット、出せる色も4096色中16色程度でしかなく、この解像度で実写画像を表示すると、どうしても肌がディザでざらざらになり、ちょっと萌えるには無理があった。そのせいか、4人の女の子のうち2人はアニメ絵になっているのが興味深い。

ちなみに脱衣はおっぱい見せで2パターン。しかもアニメーションするなどサービス満点13年前の「メガネっ娘」
 そのアニメ絵のうちひとりが、「メグ」という女の子だ。実はメグ、なんとメガネっ娘なのだ。13年前から、ニチブツはメガネっ娘に「萌え」の要素があることを見抜いていたのだ。おそるべしニチブツ。しかしおっぱいを見せたときにメガネを取ってしまうのはマイナス。メガネをかけた顔にかけるのが醍醐味なのになぁ。まあ、黎明期ということでしかたがない。
 いわゆる脱衣麻雀で女の子に注目がいったのは、1987年のスーパーリアル麻雀P2からだが、脱衣麻雀のキャラクタに初めて名前をつけた(もしかしたら「制覇」が先かも)という意味でも、セカンドラブは革命的でかつ、感情移入しやすいゲームだった。そのためごくわずかではあるものの、メグを支持したプレイヤーもいたのである(オレ様だオレ様)。

メグに隠れて忘れられた存在の静香。社長秘書で麻雀は強い伝統の味〜過剰サービスとバカなAI
 さて、キャラクタに関して言及しているときりがないので、この辺でシステムについて触れておこう。セカンドラブはニチブツ脱衣麻雀の大きなターニングポイント、ちょうど過渡期にあたる作品であることがうかがえる。
 麻雀の思考ルーチンは、いまに通じる「配牌で難易度を調整する」やり方を採用しているように取れる。コレに対する根拠は、4人のキャラクタにそれぞれ打ち癖があるということだ。メグは弱め(とはいっても、現在の脱衣麻雀と比べればとてつもなく強い)、静香(タイトル横の女の子)は最強といった感じで差別化されているのだ。
 実際に打ってみると、この「強さ」はイコール「あがりの速さ」として表現されており、配牌を調整してテンパイ速度を上げているのではないかと推測できる。
 また、今後のニチブツ麻雀に必須とも言えるボーナスフィーチャーが充実していることも忘れてはいけない。割れ目ルールの採用、ドラ表示牌で上がることで得られるスペシャルボーナス、流局後のラストチャンス、配牌時のファーストチャンスなど、ニチブツ麻雀の基礎は、セカンドラブの時点でほとんど組み込まれている。いわゆる次世代ニチブツ麻雀の先駆けである。
 一方で、セカンドラブがジャンゴウナイト以来の伝統を引きずっている要素もあり、もっとも目立つ点は、いわゆる「企画もの」ではないニチブツ麻雀という点だ。セカンドラブ以降に出たニチブツ麻雀では、脱衣に加えてちょっとしたストーリーが組み込まれることが常識となる。そういった意味では最後の旧世代ニチブツ麻雀とも言えるのだ。
 脱衣麻雀を制作するメーカーが増え、ただおっぱいが見えるだけではない、ニチブツならではの付加価値を模索していたことが、セカンドラブからはひしひしと感じられるのである。先述の「実写とアニメ絵の両天秤」というのも、今後の脱衣麻雀の方向性を定める上での試金石だったような気がする。実際この後、「美女っ子夢物語」「対家麻濡感」「パステルギャル」という例外はあるにせよ、ニチブツはアニメ絵、もしくはアイドル系路線を選んだ。
 まあ、なんだかんだ言っても当時のオレ様は「メグ萌え萌え〜」以上の感想は持たなかったのであるが。
 そうそう、忘れていたがおっぱいの大きさは手のひらサイズできちんと統一されている。コレもまた、現在まで続くニチブツの伝統と言えよう。

ニチブツは常に未来を見据えていた
 ニチブツ麻雀の7割はクズだ。しかし残りの3割は、脱衣麻雀の未来を見据えた設計がそこかしこに垣間見える。トップシェアになっても次の一手を見据えるべく、新しい切り口、見せ方を模索し続けてきた姿勢が、10年以上の長きにわたって脱衣麻雀を作り続けてきた原動力と言えよう。
 脱衣麻雀を遊んでいる人間にはふたつの人種しかない。暇つぶしか萌えである。脱衣麻雀を見て「ほほぅ、いい仕事してますねぇ」などとうなる人はいないし、決してゲームシーンの表舞台に出るようなジャンルでもない。そんな見返りの少ないジャンルのゲームでありながら、常にチャレンジングな姿勢で居続けたニチブツに、私は感動せずには居られない。
 しかし、なんでこの努力を思考ルーチンに回せなかったのだろうか。惜しい。

*1:現在では[]色はペールオレンジと言わなくてはならないらしいが、それでは何のことやらさっぱりわからんだろうから「肌色」と表記した。

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