Miss DATSUI NAHJONG        
 
誰が、何のために遊ぶのか?
スーパーリアル麻雀VS
 
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Ver.2
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  あまりにも普通な対戦麻雀

 俺はスーパーリアル麻雀PIIで脱衣麻雀にハマった。それだけにセタの脱衣麻雀にはとても思い入れがある。もしPIIがなければ、俺はここまで脱衣麻雀にのめり込まなかった。だから家に業務用筐体を導入して脱衣麻雀を存分に遊べるようになって真っ先に買ったのが、セタのスーパーリアル麻雀PIIだった。
 そして今回紹介するのが、セタの最新脱衣麻雀、スーパーリアル麻雀VSなのだが……。スーパーリアル麻雀VSは対戦脱衣麻雀を前提としたゲームで、過去のセタ脱衣麻雀ゲームのキャラクタが総出演し、その中から任意の1名を選んで対戦する。
 対戦部分は特にこれといった特徴はない。3回勝負で点数が高い方が勝利し、相手が選択したキャラクタのハダカが表示されるというきわめてオーソドックスな設定(*1)だ。
 スーパーリアル麻雀VSは、ただでさえ通信対戦脱衣麻雀はちまたにあふれかえっているというのに何の特徴もないただの3本勝負麻雀なのである。はっきりいってこれでは、スーパーリアル麻雀シリーズに出てくる女の子のファン以外にはこのゲームをあえて選ぶ理由がない。そのうえ通信リンク時にやたらと処理速度が落ち、テンポが悪くなる(*2)のもいただけない。なんだか通信対戦ブームに乗り遅れたセタが慌ててとってつけたとしか思えない通信モードなのだ。「VS」とわざわざ銘打つのなら、かつてのように「指名買い」させるような魅力ある脱衣麻雀であってほしかった。ただでさえスーパーリアル麻雀VSのシステム基板「Aleck64」は、通信対戦時に2枚の基板が必要でコスト的に不利なのだから(それでも発売当初、対戦台がそれなりにあったのはやっぱり「スーパーリアル麻雀」っていうブランドイメージなのかな)。
 現実に、スーパーリアル麻雀VSはかなりの安値で市場に出回っている。これは「この基板では稼げない」(*3)という何よりの証明だ。
「やらされている」思考ルーチン
 さて、非対戦時のプレイはどうだろうか。通信機能をカットするとまるで別のゲームのようにサクサク進行する……と言いたいところだが、CPUがテンパイすると微妙に処理速度が落ちる(*4)など、いただけない部分もある。Aleck64システムボード自体は、家庭用ゲーム機の「NINTENDO64」と同等性能を持っているので決して低性能ではない。処理速度を落とさずに思考ルーチンを組むことはさほど難しくないように思うのだが……。
 こういった処理速度の不安定はプレイヤーにいかさまの疑念を与える。もちろんこのゲームにおける処理速度低下はいかさまとは無関係だし、そもそも脱衣麻雀がいかさまをするのは周知の事実、そのこと自体は決して悪いことではない。ただ、こういったこと自体が疑念を与えるのもまた事実で、特に処理速度低下ののち「ツモ」などと言われてCPUが上がったときは、プレイヤーの心理はいかばかりだろうか。
 もうひとつ、麻雀部分で気になるのは「配牌、ツモに違和感がある」ということだ。ディップスイッチをいちばんやさしくして遊ぶと顕著なのだが、最初のプレイはかなりやさしい配牌が来て、わりとさくっと上がれる。そして3人くらい進行すると突然難易度が豹変し、問答無用にCPUがツモって終わることが多い(*5)。また、最終ステージが近づくとコンティニューしても難易度があまり下がらず、加えてCPUの持ち点が20000点程度になるため攻略がかなりキツイ。加えてセタの脱衣麻雀にはいかさまアイテムがない(満貫以上の役を上がると、次の対戦で持ち点が1000点加算されるがほとんど意味なしである)。そのため最終面の難易度はある意味殺人的ともいえる。まあ、今日び脱衣麻雀でワンコインクリアを目指す人がそうそういるとも思えないし、これはこれでいいのかもしれないが、どこか釈然としない。

ギミックもない一人麻雀

 さらに、さらにだ。スーパーリアル麻雀VSにはこれといったギミックがなにもない。あえていうならハネ満以上を上がることで発生するスペシャル対局(*6)くらいだ。もともとセタの脱衣麻雀にはいかさまアイテムや物語性は存在せず、女の子の魅力だけで勝負してきたその女の子も過去作品の使い回しで、脱衣アニメーションもあるものの、いまどきの脱衣麻雀としてはごくごく普通。かつてのような圧倒的なアドバンテージはない。
 PIIが発売された頃は、たしかにセタのアニメーションは輝いていた。しかし他社が新型システムボードを手に入れた今、アニメーションは当たり前になっている。セタの特徴であった「流麗なアニメーション」はすでに、セタの専売特許ではなくなっているのだ。

セタはこのことをわかっているのだろうか(*7)

誰が、何のために
 不満ばかり挙げてきたが、スーパーリアル麻雀VSは決して出来の悪い脱衣麻雀ではない(*8)。しかし、今のゲームセンターにおいて「あえて」スーパーリアル麻雀VSを選ぶ理由はどこにもない。友人同士で遊ぶなら、ギャグのふんだんに入った「対戦ホットギミック(彩京)」がある。知らない人との対戦なら「ファイナルロマンスR(V−SYSTEM)」がある。ひとり黙々と時間つぶしをするなら、ダイナックスのメダル麻雀がある。
 じゃあ、スーパーリアル麻雀VSは、誰が何のために遊ぶ脱衣麻雀だろうか?

このゲームの出来に対する答えはこれに尽きると思う。
 

 
May,9 2000
UPDATE
   
脚注

*1 対戦脱衣麻雀は、V−SYSTEMがファイナルロマンス2で提案した「3本勝負で持ち点の高い方が勝利」いうルールを皆がそろって採用している。おそらく対戦格闘ゲームの影響だろう。
*2 まあ、対戦でいちばん時間がかかるのはプレイヤーの思考ですから、それほど目くじら立てるほどのことじゃないかもしれません。でもねぇ。ツモから捨牌までの処理落ちは何なのでしょうかねぇ……。
*3 税込みで3万9800円でした。
*4 たぶん当たり牌かどうかを判定しているんだと思う。かつての麻雀学園卒業編を思い出しますな。
*5 そのさまは、まるでニチブツ麻雀を遊んでいるとしか思えませんでした。……ていうかいかさまアイテムがあるだけニチブツ麻雀の方がなんぼかマシという説も。
*6 通常は対戦できないキャラクタと対戦できるのがウリだが、脱衣アニメはなし。おっぱいも見せないというまさに「おまけ」。ちなみにインストにはスペシャル対戦については書かれていない。
*7 わかってないからこんな出来になったんでしょうねぇ。やぱし。
*8 しかし、決してできのよいゲームではないのだ。 
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AN EXCITING GAME MAGAGINE...
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