▲機器類は中間車251号車に集中配置。というより251号車以外にまとまった機器を置くスペースがないのが現状です。制御器は1C8M。床下にFLと並んででんとぶら下がっています。251号車の階下席には発電抵抗と3両分のサービス電源を供給するSIVなどが収まっているのです。
制御器は1台しか搭載していません。つまり1C8Mとなるわけですが、このシステム構成では低速での踏ん張りを期待するコンセプトに矛盾しています。これは純粋にコストの問題で、価格が1C1Mどころか1C4Mすら許しませんでした。雛形のないボディを製作するということは、多くの部品が特注品になることを指します。1個1個の部品のコストアップが全体になるとバカにできないものとなるのです。そのため車両コストを無尽蔵にかけられない加賀電としては、性能に影響ない部分で妥協を迫られます。展望席と2階席の側面窓は当初曲面ガラスを採用予定でしたが、コストダウンのため平面ガラスの組み合わせとなっています。ボディもアルミにできれば多少は軽くなったでしょうが(実際800形はアルミボディを採用して軽量化しています)、価格面で折り合いが付かず普通鋼となってしまいましたし、台車も当時の技術上の不安からボルスタレス台車の採用はされませんでした。
▲スタイリングを整えるのにもお金がかかります。ボディが加工がしやすい(=工賃が安い)直線基調になったのもひとえにコストです。800形ではその鬱憤を晴らすかのような曲線デザインとなりましたが。
このようにいろいろと矛盾と妥協を重ねて登場した200形ですが、旅客からは好評をもって受け入れられ、ほかの4ドアの特急はいつ200形になるのかという問い合わせも受けるほどになりました。こんなことは加賀電の歴史ではなかったことで、加賀電としては旅客の要望に答えるべく、日中の全特急を200形とするため、合計5編成も作ることとなりました。
現場としては再設計に時間がほしかったところですが、営業に押しきられる形で200形を製造。反対の声のひとつもあげたかったのですが、200形のお陰で利用客が15%も増えた(これにあわせて3分のスピードアップをしたというのもありますが)ため、そういう声は聞き入れられることはありませんでした。
200形は加賀電のフラッグシップトレインとして、特急を中心に大活躍しているのは承知の通りです。
▲3両で144トンの重量物を走らせるには相応の軌道と電力設備が必要です。バブル時代に軌道の養生がなされていなければ200形は企画の俎上にすら上がらなかったでしょう。逆に言えば200形が106キロで走れる間は、加賀電は経営が安定しているともいえます。 |
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200形嫌ってる人多いですよね |
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むしろ好きな人がいるのでしょうか |
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大勢の旅客です |
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その視点を忘れていました |
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鉄道会社にとって一番忘れてはいけないものだと思いますが… |
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まあ、M台に出入りしにくいし車内清掃は手間かかるしで、運転士で好きな人はいないわね |
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巡回がしづらい、車掌室を通路が貫通しているなど、車掌の評判も最悪です。保線のかたがたも「レールクラッシャー」といって嫌います |
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電力指令のエブリワ〜ンも、「電気イ〜タ〜」言って嫌いま〜す |
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工場も整備が厄介と言って嫌いますね… |
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しか〜し! 加賀電の稼ぎ頭である以上は、受け入れるのが大人で〜す |
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実際特急の利用率って276席も用意するほど高いんですか? |
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加賀電利用客の10%が都市間利用です。つまり金沢市内〜小松市内の高額運賃をご負担いただいている旅客が多いので、200形は必要なのです |
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運行コストが1.5倍でも、1.7倍の旅客が利用してくださればオッケ〜ノープロブレムで〜す! |
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あと、お子様の人気が高いのも素晴らしいことです |
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特急を4ドアで代走すると露骨に子供が嫌な顔するもんね |
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…? そこがよくわかりませんが? |
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都市間利用でお子様が「加賀電特急に乗りたい」といえば、大人運賃が自動的についてきます |
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…大人運賃…あ、保護者ですか |
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お客様が喜んでくれ〜る商品を大事に育てるの〜が、経営者で〜す! |
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すごい! 私鉄みたい! |
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加賀電は私鉄じゃないんですか? |
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私物の鉄道という意味では私鉄ですね。ですから加賀電内部では「民鉄」という言い方はしません |
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本当ですか? |
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嘘よ |
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… |
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