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なるほど小名浜線
その1 ハイブリッドってなんぞや
 2010年に小名浜派出のDE10はいっせいにHD300形式に置き換わりました。HD300形式は機関車ではじめてのハイブリッド方式を採用。モータは永久磁石のシンクロナスモータ(PMSM)を採用した超ハイテク機関車です。はっきり言って小名浜派出にはもったいないにもほどがある車両ですが、じゃあDE10とはなにが違うのか? また、電化している小名浜線になぜ電気機関車が入線しないのか。今回は小名浜線貨物列車の謎について聞いてみました。

えらい人に聞いてみた!
(えらい人:JR貨物の人)

こんにちは。そんなわけでご面倒おかけしますがよろしくお願いします。
まあ、あたしはJR貨物の機関車は、EF64とEF65とEF66とEF81とEF200とEF210とEH200とEH500とEF510とED75とED76とDE10とDE15とDD16とDD18とDD51とDD53とDF200とM250とHD300しか転がしたことないからあまり詳しいことはわからないけど。
……さりげなく自慢してますか?
ごめん嘘。転がしたのはEF81とEH500とDE10とHD300くらいね。
……。
HD300形式の印象って、馬力があるとか加速がいいとかじゃなくて、無駄がない? て書いてあるけどどういう意味?
うん。あのね、DE10のエンジンって1,250〜1,350馬力なのよ。このエンジンが1,550rpmで回ったとき、19.5トンのパワーを出すのね。で、HD300形式はそれを上回る20トンのパワーを出すんだけど、そのパワーソースとなるエンジンの馬力知ってる?
無駄がないってことは、DD16と同じくらいで800馬力?
ノンノン、270馬力。
!!
笑っちゃうでしょ。もうさ、エコとかなんとか以前に、今まで1,350馬力使ってた仕事を270馬力でこなしちゃう。これがハイブリッドの威力なのよ。

▲HD300形式のエンジンは270馬力。嘘偽りなく270馬力のエンジンで貨車20両を引き出します。

ジャッキーの補足

 HD300形式のエンジンはたしかに270馬力だけど、このエンジンは発電用なので、実際の仕事は125キロワットのモータ4台が行なうんだ。発電した電気は一旦バッテリに溜められて、その電源でモータを動かす。4モータでパワーは500キロワットということは馬力に換算すると680馬力。これでもDD16にちょっと毛が生えた程度のパワーしかない。なのにDE10と同等以上のパワーをひねり出せるのがHD300形式のすごいところなんだぜ!
そう。エンジンは発電専用だから常に定回転でとても静か。エンジンはベストのパワーが出る領域が決まってるから、その回転数だけを使用するのがいちばん効率がいいの。
発電用だから馬力はそこそこでいいという理屈はわかりましたが、それでも680馬力って……DE10の半分ですよ?
わかった! DE10の2倍の回転力でバッファローマンを上回る1,000馬力を出すんだね!
何そのゆで理論。
キン肉星へ帰ってください……。
ウオーズマンの故郷は旧ソ連……帰るところなんてない。
……(突っ込むの、そこ?)

▲なにも幹線を100キロで走るわけではないので、設計はけっこう割り切ってます。


 話を戻すとHD300形式はVVVFインバータを採用している。VVVFインバータはコンピュータで電圧と周波数を可変し、高速演算で適切なトルクが出るようにモータに電気を流しているんだな。その細かさは何百万ステップというレベルなので人間が操作するのは無理だけど、コンピュータならオッケーさ。さらにPMSMを採用しているので高回転、大電流などによる熱損失が小さいから、無駄なく電気をパワーに変換できるというわけさ。
ま、そういうことね。モータを回して熱が出るってのは、本来運動エネルギーになるはずのパワーを無駄にしているってことだから。PMSMはそのへんをうまく改善しているから冷却まわりを思いっきりシンプルにできたのよね。
要するに無駄がなくなった分、実効馬力は低くてもかまわないと。
そういうことね。余分なのりしろはこの機関車には不要ってこと。本当にエネルギーを無駄なく使ってるのには感心するわね。
スイッチャーだから本線をかっ飛ばす性能はあっさり捨てて、入換に適した性能、つまり低速トルクを重視したセッティングになっているんですね。
まあそうだけど、小名浜線の場合本線運転もHD300形式がこなしちゃってるわね。どうせ距離も短いし。
そういえば、小名浜線は側線も含めて電化していますよね。
工場の中はさすがに非電化だけど、まあおおむね架線が張ってあるわね。ヤードに電車の留置をすることもあるし。
ハイブリッドじゃなくて、普通に電気機関車じゃまずいんですか?
次回は「なぜ小名浜線は電気機関車を使わないのか」をお送りするぜ!

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