▲しっかりと整備された筐体。金属製の筐体を屋外で何十年も運用する苦労を考えたとき、この美しさは驚愕に値します。

▲ハンドル。ここを見たとき「ホープ製?」と早合点してしまいました。

▲独立したホイールは金属性ボディゆえのカトウ製キッズライドならではの特徴。ホイールは佐野製作所(パークトレインなんかも作ってます)製。
プロトタイプ バスもしくはバン
分類 ライド
メーカー カトウ製作所(当時)
採集年月日 平成25年1月26日
採集場所 松坂屋銀座店


 カトウのキッズライドと言えば、プラスチック製の座席に黒い大型ハンドルというイメージがあり、キッズライドのメーカーを判定するポイントにもなるのですが、それにこだわると本質を見失う例として松坂屋銀座店屋上のキッズライドを紹介します。
 このライドを同定する際にまずどこを見るべきか。俺はまずハンドルを見ますした。ホープなら鋳物製小型ハンドル2本アーム、トーゴなら3本アーム、眞砂なら樹脂製花型3本アームみたいに見分けます。中にはホープのハンドルを流用したセガやナムコの筐体もありますが、それは「セガはホープのASSYを使っている」という知識があればいい話です。以上を踏まえてコクピットを見ると、鋳物製小型2本アームハンドル。しかも2人乗り。間違いなくホープです。 俺もそう思いました。

ハンドル例…ホープトーゴ眞砂カトウ

 しかし、ここで思考停止すると物事を見誤ります。このキッズライドに関しては筐体の作りがホープ製であることを否定しているからです。ホープの筐体であれば樹脂製のはずですが、この筐体は金属製です。まずこの時点でホープ製はありえません。ほかに筐体の特徴を見ていくと、天井に大きく穴が開いています。これはカトウの筐体に見られる造作。つまりこれはカトウ製と判断するのが妥当というわけです。
 さらにカトウ製を裏付ける点をもう一点。足回りです。ホイールを独立したASSYで表現するのはカトウならではの造作です。他社は樹脂製ボディゆえにボディとタイヤが一体整形で作れますが、カトウは金属製ゆえにそれができないわけです。ここまでカトウの特徴が出ている筐体ならカトウ製と同定して差し支えないと思います。

 実はこの結論は、店員さんに「これは自社製」と教えてもらったからこそ導けた流れであり、もし教えがなければ「ホープ製? それにしては……」で終わっていたことでしょう。俺もまだまだです。
 資料の少ないキッズライドの世界では、キノコの同定のような地道な作業が必要です。そのためにはフィールドワークを行い、データベースをしっかりと作ることが肝要なのだと一台のキッズライドに教えてもらいました。

▲そういえばこのコインシュータ、よく見りゃカトウの筐体ですって強烈に自己主張してるじゃないか。


 さて、今回このキッズライドは俺にひとつの示唆を与えてくれました。井の頭自然文化園の謎バンですが、側面のイラストが松坂屋銀座店のバスに一致します。そして独立したホイールと天井の空間。この特徴からこのバンはカトウ製と判断してもいいのではないかと考えています。
 
 

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