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動態保存
 宮城電鉄の主要駅には、LCDによる発車案内表示機が順次導入されている。仙台花京院駅も2016年10月に更新を終えたのだが、2番のりばに1ヶ所だけ、LEDの旧型どころかさらに古い行灯式の発車案内が残っている。
 もちろんこの1台だけ更新を忘れられ続けているわけではなく、動態保存的に行灯式の発車案内を残しているのだ。
 電鉄仙台(現在の仙台西口)〜仙台花京院間は市電廃止の見返りとして1975年に開業した。現在残されている行灯式発車案内はこのときに作られたもので、行灯式としては比較的後期の製品となっている。
 1985年に仙台花京院駅の発車案内をソラリー式へ交換することになった際、当時の統括駅長が『1台くらい(行灯式を)残してもいいのではないか』と社 内報に書いたことにより、他の行灯式発車案内からASSYパーツを抜き出して、保存できるところまで保存しようということになった。
 基本的には時間になったら対応する行先ボタンを押すだけのシンプルな構造なのだが、30年前ならともかく、発車案内のボタン押しに人材を割けるほど宮電は裕福ではない。そこで1995年に導入された列車運行システム『MIYAMU(MIYAden Multiple Unit)』と連動させてランプを点灯させるように改造された。このときダイヤ乱れで該当する行先ではない区間がアサインされるとエラーを返し、すべてのランプが消えるという機能も実装されている。
 なお、2011年の東日本大震災を機に節電の養成が行われた結果、発車案内板のバックライトをLEDにする工事が行なわれた。
 結果消費電力はこれまでの15%になったのだが、はたしてここまで改造してしまって『動態保存』といっていいのだろうか。そしてLEDが明るすぎて、肝心の表示が見えないという弊害まで出ている。
 そんな懸念もそ知らぬ顔で、今日も行灯式発車案内板は仙台花京院駅で旅客の案内を続けている。

仙台花京院駅2番のりば中ほどにある発車案内は、1975年製造の行灯式。発車ブザがなると行灯が消え、駆け込み乗車を防止する機能もついている。


1番のりばは他の駅と同じLCD方式の発車案内装置に更新されている。こちらも発車ブザがなると表示がブラックアウトする。
サマンサ 2017
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