六甲電車

 

普段は六甲車庫で昼寝をしている911形。〈六甲車庫〉

911形〈ユニバーサル〉


 1996年に、これまでの119形〈マルチプル〉の老朽化に伴い登場した配給・救援車。ボディは廃車になった700形から、台車や一部機器は震災で被災した1000形のものを再利用してまとめている。車体色は事業用車輌の標準色、六甲イエローに六甲レッドのラインが入る。要は旅客車と逆のパターンだ。
 システムとしては全長16mの2両連接で、911号車と912号車が同じ機能を持つ。モータは1000形のMB-3290Acを流用。このモータは端子電圧500Vなので6モータ1コントの構成となるが、六甲電車は山岳線の1コント運転を認めていない(1000形は1コントだが、かならず他の車輌に連結して運行する)ため、911・912号車それぞれにFCM-206-15VRDH(1000形のコントに発電ブレーキを追設)を装備。コント不動時には自動的に切り替えることで2コント構成としている。
 ブレーキは1000形のMBS-Rを流用しているが、救援列車として運転する場合、必ずしも回生ブレーキが有効に動作するとは限らないためにコントには発電ブレーキが作動する。もともと1000形や1200形などにも標準で装備されているものだが、911形は救援車両として無動力車両の分も制動力を確保しなくてはならないため、大容量の抵抗器を床下に追設している。そのため艤装の一部は車体上に行かざるを得なくなり、2エンド側に機器室を設け、ここに比較的重量のかさむBLMGや断流器などを設置している。なお、これら機器のほか連接車としての重量バランスを成立させるためにデッドウェイトも2エンド側に搭載している。

メ モリー:新旧交代・〈六甲車庫〉

  先代の119形は車幅2,500mmで全長も14mと短かったので連結構造として軸重を分散できたが、911形は種車が2,600mm幅の700形のために中央区内のR39カーブを曲がるには連接構造にしなくてはならず、そのため軸重の制限が搭載量に大きく響いてしまう。そのため新造部分の荷台はオールステンレス構造として車重27tまで抑え、最大積載量9tを確保している。その代償として冷房は撤去(これだけで1tは軽くなる)され、くわえて1エンド側には窓がないために夏場はたいへん暑く(規則上、乗務員扉を開放しての運転は認められていない。また、乗務員窓を開けたところでこのあたりは正圧と負圧が均衡するため、風はほとんどはいらない)、乗務員からも「夏場だけは119形のほうがよかった」といわれる始末である。
 911形は万が一の際の救援車両として、また六甲工場と船坂車両検査場の間の資材配給用に使われる。

車端部のスペースは機器室とデッドウエイト。床下には発電ブレーキ用に追設された抵抗器が見える。〈六甲車庫〉
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サマンサ 2015
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