六甲電車

 

洗浄線を通過する2000形。各車両とも1週間に1回程度は洗浄線を通過するようローテーションが組まれている。〈船坂車両検査場〉

六甲電車の保守体制

 六甲電車は事業用車も含めると、264両の車両を保有している。これらの車両のメインテナンスは六甲山口駅にある「六甲工場」と船坂駅にある「船坂車両検査場」で行なわれる。
 六甲工場は130両を収容できる六甲車庫に隣接した工場施設で、重要部検査・全般検査を担当する。敷地面積は約40平米で、主工場・車体工場・転削工場・塗装工場がある。主工場は40平米とたいへん狭い中で、40tクレーンを用いて車両を効率よく分解し、車体はトラバーサ経由で車体工場へ、機器類は主工場の各セクションへ、台車は台車工場、モータは主電動機整備場、車輪は車輪工場などと、それぞれの部署へ送られる。

全般検査に臨む2000形。台車から切り離された車体は主工場で機器を取り外され、各作業所へ送られる。車体は車体工場に送られ、検査のあと再塗装が行われる。手前に見える三軸台車は、連接台車用の仮台車。〈六甲工場〉

 全般検査に要する日数は5両編成のタクトで11日。塗装工程がない9500形および1700形はそれより1日少ない10日となっている。
 かつては仕業検査から全般検査まですべての検査を六甲工場で行なっていた関係で、工場内には浮きピット線が2線ある。現在この線では歪ゲージ式車重測定器を設置し、静止輪重比の測定を行なっている。また、車両故障などでの突発的な事象に対しての余裕としても活用されている。
 船坂車両検査場は、六甲工場が手狭となってきた1975年に六甲工場の一部を移転したもので、75両の終了が可能な車庫線の脇に設置した検査棟で、仕業検査と列車検査を担当する。構内には浮きピット線が2線あり、ここで検査を行なうほか、隣には気吹き集塵室を設け、検査車両の床下気吹きを行なっている。
 六甲車庫・船坂車庫合わせての終了能力は205両で、保有車両すべてを車庫に収容できない。そのため一部の車両は宝塚・電鉄有馬・六甲山口・三宮・元町・東公園の各駅で夜間滞泊を行なっている。
 また、両車庫には洗浄線がそれぞれ2線用意されており、入出庫のタイミングで洗車を行っている。
 このほか、新車搬入時の受取検査は車両メーカーから陸送で六甲工場の横取線まで輸送し、六甲工場の係員が立会いのもと行なわれる。基本的に資材やアセンブリーパーツのやり取りも六甲工場で行なわれ、船坂車両検査場で資材が必要な場合は、六甲工場で受け取ったのち、911形で配給する手はずとなっている。
 かつては検査業務のすべてを自社でまかなっていたが、昨今の情勢変化を受けてメインモータや各種機器の検査の一部を外部の業者に委託している。また、船坂車両検査場では年に1回程度沿線の皆様に向けた鉄道イベントを開催しているほか、沿線の小学生を中心に社会化見学の一環として、六甲工場での業務の様子を定期的に公開している。

構内牽引機に牽かれ、トラバーサで車体工場に移動する2000形。すでにドアや床下機器がはずされているのがわかる。右奥に見えるのが車体工場で、ここで外板の検査と再塗装が行われる。狭い敷地内での往来用に、構内移動車と軌陸車が各1両配属されている。〈六甲工場〉


年に一度開催される船坂車両検査場のイベント。在籍車両を間近で見学してもらうだけでなく、普段鉄道は安全に対してどのような取り組みを行なっているかを知ってもらう機会として、六甲電車も力を入れている。〈船坂車両検査場〉

ホームページに戻る



サマンサ 2015
inserted by FC2 system