六甲電車

 

2015年11月に納品された2500形第7編成(左)と休車となった800形第3編成(右)本来なら700形が廃車となる予定であったが、AVFチョッパ装置の不調により800形の引退を先に進めることとなった。〈六甲車庫〉

歪む車両置き換え計画
 六甲電車2015年度の計画では、2500形1編成を増備し、700形1編成を廃車にする計画だった。現行形式でもっとも古く、唯一の狭幅車で保安上の問題もありうることから廃車計画は妥当であったが、11月におこなわれた2500形第7編成の納品と引き換えに運用を離脱したのは700形ではなく800形803編成だった。
 800形はAVFチョッパ制御で、使われている半導体部品がとっくの昔に製造中止となっているため、ASSYパーツの入手が不可能になってしまったことに起因する。AVFチョッパ制御を採用した車両は極めて少なく、共食い整備をするにも地球上から部品が払底しているといっても言い過ぎではないのだ。
 一方で700形はシリースモータを使った抵抗制御。こちらも数は減らしているとはいえまだまだASSYの入手は可能だし、なんとなればカムモータや抵抗器くらいなら自作が可能だ。そこで700形をしばらく延命し、800形を優先的に廃車することとした次第。
 とはいえ、700形もたとえばHSC-Dの自動ブレーキ弁を構成するM三動弁の生産は終了しており、予備部品を他社から(関東のS鉄道殿がHSC車を大量廃車する際に、当座必要なM三動弁を購入してきている。なお、S社殿も六甲電車同様の問題を抱えていた。以上余談)購入するなどして当座をしのいで入るものの、経済的寿命はとうに来ている。しかし大手民鉄とはことなり準大手の六甲電車では車両購入の予算は限られており、2016年度の新車投入計画は2500形1編成と2060型14両としている。この2500形は残り1編成となった800形802号編成の置き換え用となるので、700形の廃車は早くても2017年度ということになる。
 老朽化の問題は800形だけの問題ではない。比較的新しい……といっても20年選手となるのだが……9500形や1500形といった初期のGTO-VVVF車の部品も調達が難しくなっている。

機器交換を実施していない「四畳半インバータ」の9500形(上)と、1月20日に機器交換第一陣として登場した9500形第2編成(下)。当面の間9500形はGTO車4編成とIGBT車4編成の布陣となるが、同一形式で機器が統一されていないと、保守面でのデメリットは大きい。しかし予算がない以上どうしようもないのだ。〈瑞宝寺〜松尾橋〉

 しかし、このへんの車両をいっせいに置き換える予算は今の六甲電車にはないため、勢い一部車両の機器を新しいVVVF装置と交換し、捻出したコントローラを共食い用の予備品として捻出している。たとえば1500形の半数を機器交換し2700形とした上で、半数は1500形のまま残存しているのもひとえにASSYパーツが不足しているからであり、同様に2000形の6連化工事で捻出されたコントローラで9500形の一部編成を機器交換し、捻出したGTO-VVVFコントローラを予備品として回すといったことも予定している。
 こういった場当たり的な対応は、車種統一という面からも好ましいことではない。同一形式のクルマには同一のコントがぶら下がっているべきであり、検査のたびに「この編成はこのコント」などとやるのは非効率極まりない。究極的には9500形などは全編成MAV-194-15VRHコントローラに載せ変えるべきだが、残念ながらそこまで予算はつかないのが現状。しばらくは4編成がMAV-194-15VRHに改装、残り4本は捻出された予備品をローテーションしながらMAP-194-15VRHを使い続けるほかないのであった。
 今後も10年サイクルでVVVF装置が陳腐化していく。そうなったとき、新造車両のサイクルを鑑みて、床下更新で切り抜けるか廃車して新造するかの判断が問われてくる。半径39mのカーブ、40‰の連続勾配など路線の特殊性から汎用の車両を投入できず、車両価格は他者よりもどうしても割高になる六甲電車。他車よりも価格が5割高いからといって車両寿命が50%伸びるわけではないのがつらいところだ。
 幸いにも昨今のアルミボディやステンレスボディの車両は、車体の劣化が驚くほど少ない。そうなると、車両新造はある一定のところでストップし、1500形や1000形を機器交換で延命させる方針も検討の余地がある。
 もっとも、2ドアの1000形はオペレーションに問題があるため、できることなら3ドアの新車か改造車を投入したいところではあるが。

経済的寿命はとうにきているものの、延命工事をうけ現在も活躍する700形。このほかコンパウンドモータ車の1000形・1200形なども程なく寿命を迎えることとなり、今後の車両計画も問題は山積している。〈東公園〜市役所〉


アルミボディのため車体の劣化は少ないものの、2ドアゆえにオペレーションに問題が残る1000形。3ドアの新車を投入したい気持ちはあるが、いかんせん2両つなぎの車両は走行距離が少なく経済的に新造は難しいのが悩みだ。〈下山口〜六甲球場前〉

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サマンサ 2015
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