技術「だけ」お見せします
3Dグラス |
■セガらしい豪快な周辺機器
セガマーク3というマシンは、今思えばすごい機械のような気がしてきた。マーク3の左下にはフューチャーコネクタがあり、その後そこにはFM音源ユニットが装着された。もとよりセガは後先考えない場当たり的な拡張が大好きで、最新型のドリームキャストでも汎用コネクタのようなものがコントローラについている。実際このコントローラにはメモリカードや振動パック、そしてマイクがつながるという豪快っぷりだ。 まあ、そんなわけでセガのゲーム機にはたいていわけのわからんコネクタがひとつくっついているのである(*1)。 前置きが長くなったが、今回紹介する3Dグラスも、そんなセガらしい周辺機器だ。 家庭用ゲーム機が産んだあだ花のひとつに「3Dグラフィック」がある。もちろん昨今のポリゴングラフィックのことを言っているのではない。立体メガネをかけて、画面に奥行きがあるように見せるグラフィック技法があったのである。当然新しい技術に弱いわれらがセガも、マーク3向けに3Dユニットを発売した。
マイカードマーク3の端子があいとるやんけ。
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*1 家庭用に限らず、業務用基板にもわけのわからんコネクタがあったりするんだな。セガは。 |
■毎度毎度の無謀な拡張 セガ信者には当たり前のことだが一応説明しておこう。セガマーク3のゲームソフトには、ゴールドカートリッジと言われるファミコンのROMカセットみたいなものと、マイカードマーク3という、PCエンジンのHuカードみたいなものがあった(*2)。どうして2種類あるかなどという理由はどうでもよろしい。セガのやることにいちいち理由を考えていたら、ゲームを遊ぶ前につかれてしまう。 3Dグラスが発売される頃には、すでにソフトの主流は大容量のゲームが作れる(*3)ゴールドカートリッジしか作っていなかったから、マイカードの端子は即フューチャーコネクタとして流用されてしまったわけだ。この場当たり的な拡張は、まさにセガの真骨頂である。とにかくセガという会社は、電源さえ引っ張れればどんな端子でも利用してしまう会社である。ま、信者はそんなセガに惚れてしまうのだが。 しかし、改めて考えると、マーク3にFM音源ユニットと3Dグラスを装着して、よく電源容量が足りたものだ。 |
*2 こう説明しても、セガサターン以前を知らない場合は理解できないかな。
*3 128キロバイト以上の容量を持つゲームは、ゴールドカートリッジで作られていた。しかし容量とゲームの面白さは必ずしも比例しないのは、「ミスタードリラー」を遊ぶことで、今でも確認できる。 |
■ハード一流、ソフト三流 さて、かなりの意気込みで作られた3Dグラスだが、3Dになるというだけでゲームのほうは大して面白いものはなかった。発売されたゲームは「ブレードイーグル」「ザクソン3D」「メイズウオーカー」「スペースハリアー3D」の4本だけである。このほか「アウトラン3D」というのも予定されていたが、発売日は永遠に未定と言うことになっている。 まあ、出なくて良かったような気もするが。 何せ当時の3Dというのはポリゴンを使用しているわけではないので、敵キャラや弾は当然スプライトやBGに描画する。しかしこれらオブジェクトのえは平面的なままで、妙に奥行きだけがついた絵になってしまうのである。文章で書くとイメージが沸きにくいが、本に載っている「交差法でみる立体画像」みたいな感じといえばわかってもらえるだろうか。 とにかく、舞台の書割みたいな、平面的なオブジェクトが迫ってくるさまは「こんな立体ならいらねぇよ」と思わせるに十分だった。 まあ、ゲーム的に見れば、ブレードイーグルは論外として他のゲームはそこそこ遊べるのだが、ゲーム性と3Dグラスがまったく絡んでない、ていうか無理やり既存のゲームを3D化したようなもの(*4)で、結局、3Dグラスというハードを生かしきったゲームは出なかった。まあ、これはライバルのファミコンもそうだし、その後出たバーチャルボーイの大空転ぶりを見れば、セガだけを責めるのはかわいそうと言うものだろう。 |
*4 スペースハリアー3Dなんか、隠しコマンドで3D機能をオフにして遊ぶのが常識だったからな。 |
まあ、毎度毎度の落ちで恐縮だが、結局3Dグラスもいつものセガらしく「技術力は思いっきり投入しましたが、それで力尽きました」って感じになってしまった。さしもののセガ信者でも「わぁすごい。さすがセガだ。ちゃんと3Dしている」以上の感動はざんねんながら得られなかったのだった。
しかしセガ信者はめげない。「この次があるさ」と明るく、次の信仰をはじめるのである。 ちなみに、ファミコンの3Dグラスはセガマーク3でも使えます。もっとも、マイカードマーク3端子に接続するコネクタは必要ですが。 |
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ここは、GR01「3Dグラスユニット」