アウトランといったらこの風景ですな ファミコンに「勝った」瞬間
アウトラン(セガ/1988年)

セガ信者垂涎の一本だった  
 「〜家庭用ゲームでも完全移植が当たり前の今、あの感動はもう味わえないでしょうね。まさに『よくぞココまでやってくれた!』って感じでしたから(音声は変えてあります)」。当時セガ信者だったG氏(仮名)は、こう述懐する。当時業務用ゲームの最高峰だったアウトラン。これがセガマーク3に移植されるというのだ。当時のセガ信者がどれほどときめいたかは想像に難くない。
 このころセガは実に見事な業務用ゲームの移植を行っていた。ファンタジーゾーンやスペースハリアーの移植は、ハードウェアの性能に合わせた最適な移植で、何かとうるさいセガ信者の大向こうを唸らせていた。そして当然アウトランの移植にも、多大な期待をもって・・・いやちょっとは疑ったかなエンデューロレーサーの例もあるしな。・・・まあとにかくいろいろな思いを秘めてゲームショップに走った。

その出来に驚愕したあの日画面の再現性より、ゲームの再現性重視
 「すごいよマイクゥ!これはまさにアウトランだよ。このカーブの感覚、加速感、まさにアウトランじゃないか。
 「最初は画面を見て、『あぁ、これはちょっとダメだわ』なんて思っていたの。だけど車を動かしてみたら操作感覚が業務用のままだったの。これはすごいって、思わず家族中に電話しちゃったわ
 「孫があまり外に出られない私にプレゼントしてくれたの。でも所詮家庭用でしょ・・・なんて思っていたんだけど、動かした感覚は、まるでパッドがアナログコントローラになったかと思ったわ。セガには感謝してるわ。あと、こんなすばらしいプレゼントをしてくれた孫にもね

 画面写真を見ての通り、画面そのものの再現性は低い。しかし指先に伝わる感覚はかなり業務用に近いものがあった。スペースハリアーの移植ではこの点少々不満(自機の移動速度がかなり重かった)があったが、アウトランでは見事解消。業務用での58秒の走りをすればちゃんと58秒21で走り抜けるゲーム速度や、急カーブの操作感覚は見事だった。また、ロケットスタートやギアガチャなどの裏技もサポートされており、業務用の攻略がそのまま使えるのもユーザーから快哉を浴びた。まあ、あのマーク3パッドでギアガチャをやるのはかなり無理があった。しかし、信者にとっては「できる」という事実が大事なのだ。やるやらないは二の次三の次
 実際、技術的にもすごいものがあり、多少のちらつきを容認し、沿道の樹木を可能な限り大きくし、石柱などもBGを駆使してうまく表現されていた。ある意味セガマーク3ゲームの最高峰だったのである。当時のセガ人なら「マーク3はグラフィック機能が優れている」というのはファミコンユーザーに対するセールスポイントの基本の基本。後述するハイウエイスターを引き合いに出し、セガ自慢に励んだものだ。ファミコンユーザーにとってはいい迷惑だが(オレもその当事者だったから、偉そうなことは言えないけど)。

ファミコンに、そしてPCエンジンに「勝った」瞬間 似て非なるもの。それはハイウェイスター
 ファミコンでは当時、スクゥエアからドライブゲーム「ハイウエイスター」が発売されていた。ハイウェイスターはアウトランを強く意識したドライブゲームで、ゲーム中のBGM選曲や赤いスポーツカーなどでもそれは伺える。広告に至っては、あたかもハイウェイスターで特訓をすればアウトランがうまくなるような事までかかれていた。もちろんそんなわけはないが
 しかし、アウトランが後発であるという点を差し引いても、その出来は雲泥の差(とはいえファミコンドライブゲームの中ではなかなかのでき。3Dグラス対応版ものちに発売された)であり、いっそうセガ信者の鼻を高くしたものであった。
 さらに、アウトランは超人気ゲームなのでPCエンジンにも移植された。画面の再現性はPCエンジン版の方が優れていたが、ラップタイムの出方や操作感覚など、まったく似て非なるものであった。ドライブゲームとしては出来がよかったが「アウトラン」としてはマーク3版の方が上だと、セガ信者およびアウトランナーは確信していた。「PCエンジン版?ま、画面はきれいだけどね・・・」といやらしく通ぶった言いぐさで批評するセガ人も多かった。まあその通りなんだけど、なんで反感買うような言い方したかな当時のオレたち
 ナンバーワンのアウトランはマーク3。この事実がセガ信者の鼻を最高潮に高くしていた。もっとも、その鼻はマーク3版アフターバーナーで、根元からへし折られるのだが・・・


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