Tetris for SEGA MEGADRIVE        
 
セガ信者の屈辱
テトリス
2000-.6.20 UPDATE
 
 
  下のクレジットには、XOXO SOFTのような怪しいクレジットが……セガ信者の屈辱

 1989年当時ゲームセンターではあるパズルゲームが流行していた。そう、言わずと知れたテトリスである。当時ゲーマーだけでなくサラリーマンやOLまでもがゲームセンターに日参し、テトリスの筐体に100円玉を突っ込み、ゲームセンターを大いに潤わせた。テトリスというゲームは単純なパズルゲームゆえに3次元グラフィックや豪華なサウンドなどとはまったく無縁のゲームであり、基板性能も大して必要ないためたいへん低価格で基板が製造でき、店舗にとってもメーカーにとっても高収益を期待できる超優良商品だった(*1)。これを発売したわれらがセガは気をよくして、当時のセガ家庭用ハード、メガドライブに移植を決定した。当時セガ・メガドライブは、任天堂のスーパーファミコンとほぼ互角の戦いをしており、テトリスの発売はメガドライブが、ひいてはセガが完全勝利するためのとどめとなるソフトであった(*2)

しかし、テトリスは発売されなかった。

 テトリスはもともと、旧ソ連の心理学者アレクセイ・パジトノフというおっさんが開発したソフトウェア(原型はゲームですらなかった)なのだが、任天堂がそのおっさんから直接、テトリスを独占的に販売する権利を取ってしまったのである。そのためセガはメガドライブでテトリスを発売することができなくなってしまった。あくまでも噂であるが、すでにROMカセットはできあがっており、あとは問屋に流すだけだったものを泣く泣く廃棄した……らしい(*3)
 セガにとってこの一件は、金銭的にも営業的にも大きなダメージになった。そして信者はこの一件を「テトリスの屈辱」と受け止めた。今でもセガ信者には「任天堂憎し」という人が多いが、多くの場合このことが引き金になっている(*4)。しかもおもしろいのは、サターン以降セガに入信した信者でも、任天堂を憎んでいる人が少なからずいるということだ。三つ子の魂百までとはよく言ったものである(*5)

セガ信者の探索屈辱の「潰されたセガロゴ」
 さて、心情的な問題はさておき信者には、発売中止になった「幻のテトリス」を遊んでみたいと思う気持ちも少なからずあった。幸い日本という国は金さえあればなんでも手に入る国であり、市場はかならずエンドユーザーが「ほしい」というものを用意するものである。資本主義万歳!。というわけで、どういうわけか秋葉原にはメガドライブ版のテトリスが売っていた。
 もちろん正規ルートで売られたものではなく、アレでナニなルートを経由して秋葉原に流れついたもので、価格も通常のROMカセットが4800円〜5800円であるなか、アレでナニな8000円台という強気な価格を設定していた(*6)。しかしここで「じゃあファミコン版でいいや」という人間は最初っからメガドラのテトリスなんか望まないのである。テトリスを遊ぶことからいつしか、メガドラ版のテトリスを入手することに目的がすりかわった信者は、とにかく万難を排してROMを確保したのだった。
 実際にROMを起動してみると、いきなり塗りつぶされたセガのロゴに始まり、クレジットこそいじられているもののアーケード版そっくりの画面に信者は感動した。しかし、ゲームが始まってみるとアーケードのテトリスとは画面構成こそ似ているものの内容はまったく別物。ブロックが接地してから固定されるまでの時間が異様に短く、レベルの上がり方も遅い上に意味不明なアイテムが組み込まれたりして、なんか思いっきり肩透かしを食らわされてしまったのである。はっきりいえばつまらないのである。入手においてかなり苦労しただけに、さすがこれにはこの言葉しか出なかった。

「これならファミコン版でもよかったかな……」

謎のアイテム「F」。マジで効果は不明この騒動が残したもの

 このメガドラ版テトリスの出所については諸説あるが、個人的にはセガの廃棄ROMが流出したものではないと思っている。セガはテトリスのゲーム性については熟知しているはずであり、ど〜でもいいアイテム(メガドラ版には何種類かアイテムブロックがあるのだが、いかんせんマニュアルがないのでどんな効果か分からない)が出てきたり、レベルアップがいい加減で緊張感がなく、プレイが淡々としているなど、おおよそセガが作ったような出来ではないのである。
 もともと東南アジア系のガレージメーカーは恐ろしいほど技術力があり、テトリス程度のソフトなど朝飯前で移植してしまう(*8)見た目だけ取り繕ってさっさと市場に出す(ゲームの「旬」というものを彼らはよく知っている)のは彼らのお家芸であるから、個人的にはその辺が出所ではないかと思っている。
 まあそれはさておき、その後セガはテトリスのショックから立ち直り、オリジナルのパズルゲーム「コラムス」を作り上げた。このゲームはたいへんよくできたゲームで、テトリスのもつリズミカルにブロックを消滅させる感覚がしっかりと受け継がれつつも、連鎖消しという新しい面白さを提案した。後にバーチャコップというこれまた優れたガンシューティングが発売されたが、製作者は「バーチャコップのエッセンスはテトリスにある」と断言した。慧眼である。
 テトリスの一件はセガにとって大きなダメージであったが、セガが得たものも結構あったのではないか、と、今になって思う。もっとも、信者には何を言っても「任天堂憎し!ムキー!ただし横井軍平は除くぅぅぅぅ!」であるが(*9)

 
脚注

*1:プリクラは135万円、アウトランは127万8000円、電車でGO!が120万円、ビートマニアが94万円ということを考えると、テトリスの13万8000円はゲームセンターにとってとても魅力的である。
*2:若干信者の妄想がはいってるな。テトリスはたしかに追い風になったとは思うが、セガのいつものパターンとして後が続かずっこけたんじゃないかな。だって、テトリスで天下を取ったセガのアーケード市場は、コナミにいいようにかき回されているし。
*3:最近は各社からテトリスがゲームセンター用に発売されてはいるが。
*4:とはいえ、横井軍平に限ってはヨイショするセガ信者は多い。ここまで誉めらてれる横井軍平なのに、バーチャルボーイが「なかったことにされている」のは、ゲームマニア永遠の謎である。
*5:まあ、セガ信者ってのは、セガより人気のある会社を目の敵にする傾向があるからなぁ。コナミとかSCEIとか……。
*6:今を思えば、コレでも良心的かもしれない。現在、秋葉原のアレでナニなお店でこういったブツを購入すると、ちょっと信じられない額のお金が吹っ飛んでいく。こんな価格で買う奴がいるのかと思ってしまうほど高いものもあるが、買う奴がいるからこんな値段になるのである。
*7:マニアとはそういうものである。
*8:これで発想力とか想像力とかがついていたら、日本のソフトハウスなんかあっという間に淘汰されるだろうなぁ……。でもまあ、彼らは生まれたときから商売人だから、エンドユーザーのことは一生考えないと思う。よかったね。日本のソフトハウス。
*9:最近はNINTENDO64がずっこけたことからも、任天堂とセガ信者の間はかつてほどとげとげしいものではなくなっている。セガ信者は弱者にはやさしいのである。
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「テトリス。ただし幻の」
TETRIS GAMEDATA

対応機種:セガ・ジェネシス
(メガドライブ)
メーカー:不明
価格:不明
発売時期:不明


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