10000型 全4編成
 8000系の後継ということで、9000型ほどお金をかけられないけれどそれでもできる限り「いい電車」を作ろうという意気込みが感じられるのが10000型という車両。
 10000型が8000系よりぱっとしない印象を受けるのは、8000系に比べてファナティックな部分が少ないからなのかな、と個人的には感じています。4両の重さが136tというのも、冷房を乗せたことを考慮してもピリッと来ないところだし、性能に関しても悪くはないのだけれども9000型のようにとがったところがない。そんな地味さを10000型に感じてしまうんですよね。
 とはいえ10000型、決してできの悪い電車ではないです。コンパウンドモータを採用した界磁チョッパ制御という点は他社のクルマとそう変りませんが、全界磁まではバーニアをかませて少しでも乗り心地をよくしようという意思を感じます。140kwという出力は、定格電流が8000系の390Aから415Aに上がった分の出力向上で、重量が重くなった分の保証と考えてよく、8000系と同等の性能で走れるための措置でしょう。ちなみにギアリングは5.44と8000系よりやや低速よりにセッティングされていますが、これはモータ出力が上がった分のパワーをトルクに振ったということなんでしょう。ラッシュ時に少しでも電力量を減らすことを考えれば、納得のいく変更です。
 そんなことよりも東武鉄道がこの電車を8000系の後継と定めた何よりの証左が床下機器で、機器配置が8000系とほぼ同一なんですよね。つまり、これまでの検修体制を大きく変えることなく車両を近代化したいという東武鉄道の意思が現れている。俺はこういうところも含めて「性能」だと思っているので、相変わらず東武鉄道の見識は半端なく素晴らしいなと思うのです。
 そーいえば、8000系のシリースモータから10000型はコンパウンドモータになったわけですが、制御段での制御電流はどうするのかと思ったら、BLMG吊ってるんですよね。しかも定格1,800rpmという低回転型のバカでっかい奴。いやここはSIVでいいだろ、って思うところ(実際10030型はSIVになったけど)ですが、日光線などの勾配区間で0A制御が切れるのはよろしくないという見識だったんでしょうね。重たいBLMGなら惰性が効くので、離線起こしても給電が切れにくいわけで。こんなところも実に東武らしいなと思います。
 なお、2016年5月18日に11003編成が中板橋駅を発車したところで脱線し運用を離脱していましたが、2019年5月、新造した台車に振替運用に復帰しました。

11003編成

2019年5月20日 鶴瀬~ふじみ野

11004編成

2014年1月26日 新河岸~川越 

11005編成

2015年12月30日 みずほ台~鶴瀬

11006編成

2015年10月23日 若葉~坂戸

しかしこの「快速」幕は本当に見づらい…
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