9000型・9050型 全10編成
 東武鉄道の理想主義は9000型でも存分に発揮されました。地下鉄直通を視野に置いたデザインということで、8000系では求められなかった高加速性能が必要な一方で、東上線川越市以遠や急行運用を考えたとき、100km/hでコンスタントに走れる高速性能も考慮したいところです。
 そこで9000型ではAFEチョッパ制御を採用。コンパウンドモータを使用する点では界磁チョッパ制御と同じで、全界磁以降の制御がリニアに行なえるゼロアンペア制御が使えますが、起動から全界磁までの段階もチョッパで行なうことで、ゼロ速度からトップスピードまでの全速度域をリニアに制御できるという、まるで電機子チョッパ制御と界磁チョッパ制御のいいとこどりのようなシステムを採用しています。そのため起動時に大電流をかけてもトルクが持ちこたえてくれるので、6M4Tで地下鉄線内の性能を満たすことができる一方、コンパウンドモータでゼロアンペア制御を使うことによりトップスピードからの改正ブレーキもきわめて安定して使える高性能車両に仕上がりました。ギアリング5.44で3.3km/h/sを実現しつつ100km/hから安定して回生ブレーキを使えるのも、AFEチョッパ制御さまさまといったところでしょうか。大馬力の東急電車に伍して、東横特急の運転曲線に乗ってしまうんだから東武鉄道の先見性の高さには脱帽せざるを得ません。
 もちろんこんな素晴らしいコントローラなら他車に普及してもしかるべきですが、東武も地下鉄直通用の車両にしか使ってませんし他社ではほとんど採用例がないことからもわかるとおり、このコントローラはとても高価です。もちろん価格以上の価値のある性能ではありますが、当時の各鉄道事業者は乗り心地よりも1両でも多く車両を投入することが大事なわけで、こんな高級なシステムはどこも採用しないのでありました。おかげで部品調達が困難で、いちどコント周りがトラブルを起こすと長期休車を余儀なくされます。実際、9108編成が1年以上森林公園で野ざらしになった事例もありまして、どんな高性能でも走れなければ(=稼げなければ)意味がないわけですね。
 それはそれとして、9000型は登場から40年になろうとしていますが、そのシルキーな走りは今も健在です。東武鉄道の理想主義ここに極まれり!
 …あ、9050型について書くの忘れてた。9050型はさすがにもうチョッパ制御に時代じゃないべ、ってな1994年登場なので、GTO-VVVFインバータで登場。出力自体は150kwで9000型と同等ですが、シリースモータとインダクションモータではその特性はまったく異なるわけです。
 そのためギアリングは9000型の5.44から6.21へ変更されています。つまり、低速側にトルクを振って高速側はインダクションモータの回転数にモノを言わせるセッティングになっているというわけ。これは実際モハに乗ると70km/hあたりから音がぎゅーんと唸りを上げることからも実感できます。
 9000型も9102編成以降ですら登場からまもなく30年。当面は日比谷線直通70000系の製造が優先され、50070型への置き換えは計画されていませんが、東洋電機もすでにチョッパ制御のパーツは製造していないわけで、そろそろ物理的に走れなくなるのではないかと9000型ファンの俺としてはやきもきしています。
 あ、もしかして、70000系投入であぶれた20000型の機器を9000型の予備部品にするとか!?

9101編成

2015年10月23日 上福岡~新河岸

9102編成

2016年5月24日 新河岸~川越

9103編成

2016年4月20日 田園調布~多摩川

9104編成

2010年6月5日 新河岸~川越

9105編成

2010年6月25日 鶴瀬~ふじみ野

9106編成

2015年6月14日 みずほ台~鶴瀬

9107編成

2009年4月19日 新河岸~川越

9108編成

2017年2月22日 川越

9151編成

2011年2月11日 新河岸~川越

9152編成

2016年4月11日 上福岡~新河岸

交通安全運動ヘッドマーク取り付け車

2010年4月10日 川越~川越市

Yマーク取り付け

2009年4月19日 新河岸~川越

スターコート豊洲 ラッピング

2006年1月22日 新河岸~川越
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