LookforNature池袋から東武東上線
営業列車を追い越す回送列車
 車両運用の都合上、お客さんを乗せずに走る回送列車というのはどうしても発生します。たいていの場合、回送列車はそれ単体では儲けを出しませんので、儲けが出る旅客列車に遠慮しながらダイヤの隙間を縫って設定されます。スピードは鉄道の大事な商品ですから、お客様を待たせて業務用の車両を通すなんて横紙破りは普通しません。
 しかし東上線にはなんと先行列車を4本もぶち抜く回送列車が存在するのです。運行の都合で1本くらい追い越すのはまあ茶目っ気ですが、4本追い越すって立ったら快速急行かなんかで営業運転すればいいじゃんと思ってしまいますが、こんな回送列車を設定するには相応の訳があるのです。
 この列車はTJライナー2号として池袋7:05に到着後、折り返しで森林公園に戻る回送列車。TJライナーということは座席はクロスシートになっているので、折返しの営業運転をする際は座席の転換と車内清掃が必要です。しかし朝ラッシュ時の池袋駅で長時間ホームを占有することは不可能。5分もしないで折り返さなくてはなりません。しかも、68分後には森林公園始発のTJライナー4号として仕立てなくてはならないので、60分弱で森林公園まで戻らなくてはいけません。つまり、急行くらいの速度で森林公園に戻らなくてはならないので、やむを得ず4本の列車を追い越すというわけです。
 車両を効率よく使うことは、結果として旅客の利益につながります。したがってこの場合は回送列車が営業列車をぶち抜くことが全体の利益になると東武鉄道は判断し、ダイヤを組んでいるわけです。
 ……と、頭じゃわかっちゃいるけど、普通511列車の成増6分停車(回送と急行の2本待避)は、なんとかならんもんかねえ。
1本目のTJライナー2号が川越駅に到着。池袋到着は7:05で準急2本と普通3本を追い越して所要時間29分。ラッシュ前とはいえなかなかの速度で走ります。なお、追い抜く2本の準急は両方とも50090型です。
2016年5月26日 川越


池袋到着後5分ほど停車してすぐ折り返す回送列車。森林公園8:18発のTJライナー4号になるために約60分で森林公園まで戻らなくてはなりません。


2本目のTJライナーのために、多くの列車が道を譲ります。川越市行き2125Sはふじみ野で回送に追い越されます。
2016年5月26日 和光市~朝霞


準急だって各駅に止まる区間では遠慮なくぶち抜かれます。画像はTJライナー2号の池袋到着と入れ替わりに7:06に池袋を発車した準急3301列車です。(2016年5月26日 和光市~朝霞


志木駅で亘り線を渡って2番線に進入します。(2016年5月26日 朝霞台~志木


すると間髪をいれず、51095編成の回送が志木駅を結構な速度で通過します。(2016年5月26日 朝霞台~志木


ラッシュの反対方向とはいえ、営業列車を待たせて回送列車がガンガン先行していくのです。ただこの3301列車の場合は待避時間を少しでもつめるためか、待避時間は2分となっています。もっともこのあとふじみ野で急行1013列車を待ち合わせるため3分停車するため、川越まで標準37分のところを44分もかかってしまいます。
2016年5月26日 志木


東上線時刻表より引用。TJライナー2号折り返しの回送列車は、中板橋・成増・志木・ふじみ野の4駅で先行列車を追い越す韋駄天ぶり。一見利用客軽視に見えますが、TJライナーに使用する列車を1編成にすることで、ラッシュに使える編成を増やせるのであればこれはこれで悪くない判断と言えるでしょう。


 森林公園から折り返してTJライナー4号で池袋に到着。このあと9:17まで約6分池袋駅に停車し、下板橋留置線に回送されます。池袋発車時点で座席を回転していることも多く、このあと夕方のTJライナー(7号?)までお昼寝です。(2016年6月29日 池袋
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